住職に聞く!アースキャラバン篇 (3)

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。

喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。 http://endo-ryokyu.com/blog/

 

--アースキャラバンで企画している、広島原爆の残り火をヨーロッパ経由でエルサレムまで届けることについてのお話しを前回お聴きしたのですが、その最初の発端をお伺いして驚きました。きっかけは、ベツレヘム・フェスの開始日と終了日を、広島・長崎の日に合わせるように主催者に頼んだことだった、と、、、。

住職:はい。

--しかもその時点では、どこに行けば原爆の残り火が手に入るのか?、それを
持って行くことは可能なのか? 等々が皆目わからなかった、というお話しでしたね。

住職:はい、ベツレヘム・フェスティバルの日程を広島/長崎の日に合わせてくれることを頼んだ時点で、まあある意味覚悟を決めたんです。

--そうですか、、、。

住職:手始めに、原爆の残り火を管理しているのは福岡県の星野村であることを聞いたので、どうしたらその火がもらえるのか、そのための条件は何か? などの情報を集めました。そしてその情報に基づいて、メンバーに申請書を出してもらったんです。

--へぇー。

住職:同時にに航空会社と交渉しようと、まず、かつて日航に勤めていた友人に相談しました。僕が小中学校の頃に住んでいたニューヨークの同級生の西郡くんです。(毎週土曜日通っていた日本人学校)それで、、、。(、、、ちょっと沈黙)

-- 、、、それでどうされたのですか?

住職:いやー、実現に向けて行って来たことについて話し始めると、話があまりにも膨大になり過ぎると思って、、、。
それに僕以外のメンバーだって、実現に向けて相当いろいろなことをしています。
「ありとあらゆること」をしているのは僕だけじゃない。
だから舞台裏の苦労話なんかやめておこうかな、と、、、。

--でも、かいつまんだお話しを、少しでもお聞きでればと思うのですが、、、。

住職:うーん、そうですね、、、。例えば、ローマ法皇の秘書や、航空会社の社長に、石見洋二さん(胎内被爆者)の手紙を届けてもらったりとか、、、。

--へぇー。

住職:それに、航空会社との交渉がなかなか難しく、「広島市」が頼んでもダメだったという話を聞いて、一時はほとんど絶望しました。それで、船で持っていく可能性についても相当探ったんです。例えば、「愛媛の船会社の協力で、南米に原爆の火を運んだ」という話を聞いて、愛媛の人に船の会社を探してもらったりもしました。

--そうなんですか?

住職:また、元広島平和文化センターの所長のスティーブン・リーパー氏に会い、ピースボートで持って行ってもらえるように、いろいろ交渉してもらったこともあります。ちょうど春に出発し、夏のヨーロッパ・アースキャラバンの前にイタリアに着く便があったんです。

--で、どうだったのですか?

住職:日程的にはバッチリだったんですが、「ピースボートは調理も全部電子レンジというぐらい火気厳禁でダメ」という返事でした。そこで、ピースボートに乗り込む人に、個人的に依頼することも考え、それについて相談したこともあります。いや~でも最終的には、その線も断念しました。

--はあ~、、、。(ため息)

住職:陸路で、上海からヨーロッパまで行く中国人のバックパッカーがいないか、を聞いてまわったこともあります。
上海までは神戸から船が出ていますからね。カイロに入れた原爆の火の種火は、上海まで自分が持って行く。あとはヨーロッパまで陸路で行く予定のバックパッカーで、アースキャラバンに賛同してくれる人を見つけようとしたんです。
そこで、中国の音楽関係者と多くのつながりを持っている、友人の音楽家&映画監督の金大偉さん(満州人)等に聞きました。でも彼は旅人ではないので、バックパッカーのつながりはなく、その線も消えました。

※金大緯さんプロフィールkindaiisan

映像作家・音楽家
中国生まれ。父は満洲貴族の中国人、母は日本人。13歳の時に家族と共に来日。
以降、独自の技法と多彩なイマジネーションによって音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現。様々な要素を融合した斬新な作品を創出している。現在国際平和映画祭の審査員も担当している。

音楽CD『Waterland』(’97)、ドキュメンタリー映画『花の億土へ』(’13)など多数。

【アート活動映像チャンネル】http://p-b-a.jp/kintaii_a/

【Facebook】https://www.facebook.com/kintaii7?ref=hl

【Web】http://kintaii.com

 

--そうですか、、、。

 

住職:また、共産党本部にお勤めで、何冊か平和に関する著書がある川田忠明さんにも聞きました。

--何て聞かれたんですか?

住職:中国共産党の協力で、平和の火(原爆の残り火)をヨーロッパに持って行ってもらえないだろうかと、相談をしたんです。

--ああ、なるほど。で、いかがでしたか?

住職:中国では原爆展すらさせないと言われていました。まるでその可能性はなさそうでした。後日、他の人に聞いたら、日本共産党と中国共産党は仲が悪いとのことで、なるほど!と妙に納得しました。いやー無知なもんで、僕としては、とにかく手当たり次第動くしかないんですね。

--ほんとうに、文字通り可能性に向けてあらゆることをされるんですね。

住職:ネパールを旅していたときからの付き合いで、イギリス人のクライブ・フランスという友人がいるんです。彼はこの春、上海からヨーロッパまで自転車で行くんです。それで、「オレの願いを聞いてくれたら一生恩に着るから!」と、ビール飲ませて切り出しました。すると本人は、あっさりとOKしたんです。でも、ヨーロッパに着くのは早くてクリスマスになる、と、、、。

--ああ、残念、、、!

住職:それで、「もう、こうなったらしゃあない」と、最後は自分が陸路で持って行くことを考えました。昔のバックパッカーは、普通にインド、パキスタン、イラン、トルコのルートでヨーロッパまで陸路で行っていましたしね。僕もインドでマラリアに罹らなければ、そのルートでヨーロッパまで抜ける予定だったんです。

--そのお話、以前の住職に聞く!※に出てきましたね。

※第三十八回住職に聞く!「道半ばにしてインドで死ぬのはイヤだ」
https://www.taosangha.com/jushoku-commentaries/no-38_interview/

 

住職:クライブの友人で旅行作家の蔵前仁一さんという人がいるんです。そこで彼に、かつてのヨーロッパに抜けるルートの状況を聞いたんです。

--そうしたら?

住職:「パキスタンも危険になっちゃって入れないし、イランも前のように南部から入るのは危険だ」とのことでした。今は、アジア←→ヨーロッパのルートは、相当ややこしくなっていたんですね。

kuramaesan※蔵前仁一さんプロフィール

作家・グラフィックデザイナー
1956 年鹿児島県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、80年代初頭からアジア・アフリカを中心に世界各地を旅行し始め、86年『ゴーゴー・インド』を出 版。
バックパッカーの教祖と呼ばれた。また95年には出版社、旅行人を設立し、個人旅行者のための雑誌「旅行人」の発行人兼編集長となり(2011年休 刊)、多数の旅行作家を輩出した。

 

--大変ですねー。

住職:永遠に終わらない夏休みでもあれば別ですが、とにかく日数は限られている。、、、となると、ウラジオストックまで船で行き、あとはシベリア鉄道で1週間かけてモスクワまで行く。さらに列車を使って、数日でウィーンに着く。「シベリア鉄道に乗り続ける一週間の退屈に耐える覚悟さえ決めれば良いか、、、。」そう思ってシベリア鉄道を調べたんです。でも今はもう、運賃もかなり高額になっているんですね。

--そうなんですか、、、。

住職:それに日本のアースキャラバンの最終地、東京増上寺でのイベントが7月19日です。その次は、ヨーロッパのドルンビルンでのイベントですが、開始日は24日。わずか5日しか間がありません。

--じゃあ、無理なんですね。

住職:いいえ。キャラバン開始前の5月か6月に持って行き、1度日本に帰って来れば可能なんです。

--えー!? そこまで考えられたんですか!?

住職:まあ、実現するために必要なことをやる覚悟だと“何でもあり”になります。

--たしかに昔から、「武士に二言はない」と言います。また、有言不実行が人の信頼を裏切るものであることは、社会通念として皆が共有していることです。でも一体何が住職をして、そこまで忠実に自らの言葉を実行させようとするのでしょう?

住職:自分が言葉にしたことをやらないのでは、何だか人生そのものを裏切っているような気がするんですよねー。

--そうなんですか。

住職:言葉は霊なんです。だから自分が口にしたことをやらないのは、霊を殺すことになるんです。恐らく僕の無意識は、それがイヤなんだろう、と思いますね。でも僕自身、人に信頼されようとしてやっているわけではないんです。

--ああ、そうなんですか?

住職:自分の信念には忠実に生きたいとか、自分の人生を裏切るようなズルいことはしたくない。そういう気持ちがあるんでしょうね。

--そんな住職の想いに天が感応して、一見不可能に思われるようなことでも実現して行くような気がします。原爆の残り火を果たしてエルサレムに運ぶことができるのか? 本当にドキドキします。それに、エルサレムでのフィナーレはワクワクしますね。ぜひこのキャラバンをドキュメント映画で記録してほしいと思います。日本だけでなく、ヨーロッパや中東への巡礼は、一般の人も参加できるのですか?

住職:もちろんですよ。席に限りがありますから、早めに東京センターにお申し込み頂いた方が良いかも知れません。

--私は、アースキャラバンのテーマ曲である「SHARE!」が好きなので、ぜひみんなに聴いていただきたいと思っています。

 

住職:ありがとうございます。

--この曲の歌詞はパレスチナで生まれたとライナーノーツに書いてありました。実際にパレスチナに行かれた住職の話を読んで、いまこの日本に生きている私にも、何か少しでも世界によきことができるのではないか、と思いました。

住職:そうですか!

--でも正直なところ、“自分も何か良きことをしたい”という強い想いを抱くと同時に、“一体自分に、何ができるというのだろう?”という気持ちもあるのです。

住職:なるほど。

--それに以前の私は、“やりたい人がやればいいんじゃない? 私はそんな柄じゃないし”とか思っていました。でも、現に悲惨なことが起きているのに、見てみぬフリをするというのはどうなんだろう?と、そんな自分に対して疑問を持ち始めたんです。

住職:はい、はい。

--この世界の悲惨さの根本にあるものは、一体何なのか、、、? アースキャラバンを実現することは、この世の悲惨を造り出している根本原因に対する直面でもある、という気がするのです。次回は、そこのところについての住職のお考えを聞かせていただきたいと思っています。

住職:はい。